「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

死の実況中継 のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 今回はこちらの映画。監督はデスブログと同じ方らしいです! デスブログ、あっ……(察し)
 さて今作ですが、ネトフリで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ
【予告編】

【あらすじ】
“そのリンクは絶対に開いてはならない。
知らないアドレスから送られてきたURLを開くと赤い服の女が大きなハサミを持って猛ダッシュしている。
赤い服の女はリンクを開いた者を殺しにやって来る・・・。
大学の映画サークルに入っている中塚歩(18)。 サークルでは『死の実況中継』をモチーフにしたホラー映画を撮ろうと盛り上がっていた。ホラー映画が苦手で、気乗りしない歩。
そんな歩、高校時代にはいじめを受けていた。しかし、歩の事を庇い代わりにいじめのターゲットになった三原依子(18)。
歩と依子はそれ以来、依存しあう関係となっていた。だが歩だけ大学に受かり、依子は受験に失敗する・・・。
大学で新しい友達が出来、依子と疎遠になっていく歩。歩だけが心のよりどころの依子。
ある日、依子に巻き込まれ『死の実況中継』のリンクを開いてしまう歩。パソコン画面を走る赤い女が歩と依子を追いかけてくる・・・。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……D
キャラクター…C
ホラー度………D
設定……………D 
総合……………D
おすすめ度……D
【良い点】
・デスブログよりはマシ
 
【悪い点】
・見所がない
・テンポがクソ悪い上に話の無駄が多い
・相変わらずのガバガバ設定
 演出、設定、ストーリー、全てにおいて下の中くらいの作品でした。褒められる部分といえば、まあデスブログよりは幾分かマシだったことだけでしょうか。基本的に全部ダメなので、よほど暇か出ている役者のファンでもなければ見なくていいのではないか。
【以下、ネタバレ注意!】
 あの「デスブログ」の監督と同じと知ったのは視聴後のことでした。
 さて今作ですが、「死の実況中継」という、なんか見ると呪われて赤いコートの女に追いかけられる動画があるという都市伝説をもとに、大学の映像サークルが映画を作ることになるが、その結果マジで呪われて怪奇に襲われる、というお話です。構想はね、ベタだけど個人的にはなかなかいいと思ったんですよ、構想は。
 では、早速詳細なレビューに入って行きましょう。
 しかし残念ながら、今作の映画としての良い点を私は見つけることができなかった。強いて頑張って褒めるならば、「なんかやりたいことだけは分かった」ということでしょうか。友達同士で絆が強すぎることにより、お互いが病的なまでに離れられなくなる共依存関係を題材に上げており、ホラー対象である赤いコートの女の正体について、「実は友達がヒロインの気を惹くためにコートの女を演じていた→本物登場」と1回フェイクを挟んでみるなど、「幽霊より人間の方が怖い系の映画と思わせて、実は本物の幽霊もいました」という、試みとしてやろうとしていたことはなんとなく理解できる。このコンセプト始め、題材自体は悪くなかったと思うんですよね。題材自体は
 それでは、以下には悪い点を。今作の悪い点は、題材以外の大体全部です。
 先述の通り、今作のストーリーを大雑把に言うと「①都市伝説を元にしたホラー映画企画が立ち上がる②その都市伝説を知ったヒロインの友達(共依存)が、ヒロインの気を惹くために都市伝説になぞらえて彼女を襲う③本家登場」という段階を踏んで展開が進んで行きます。しかしながら、まず問題点その1として①→②に行くまでの展開がとにかく退屈すぎる。具体的には、無駄かつ露骨かつ下手すぎるのです。
 今作の前半部分では、主人公が大学生になり、新たな生活の中で人間関係などの環境に大きな変化があったことを描写します。しかし残念ながら、まずこの描写には無駄なことが多いと言わざるをえない。特にアレなのが、途中に挟まれる憧れの先輩とのデート描写。これがもう今作の無駄の代表格。何がひどいかと言えば、この彼氏面した先輩が物語上重要な人物かというと全くそんなことはなく、共依存の友人が主人公に嫉妬して赤いコートの女に扮する原因となったわけでもなければ、本物の赤いコートの女登場後特に役に立ったわけでもなく、マジでいてもいなくても変わらないということ。このシーンに限らずですが、あってもなくても構わない描写や存在に無駄な時間を使われるというのはまず大きな減点ポイント。
 せめてだよ、せめてこの描写を入れたいのなら、「主人公が共依存の友人と疎遠になった原因は男が出来たから」くらいの勢いで描写してくれないといかんでしょ。「高校は一緒だったけど、片方は浪人で、片方は大学入ってサークル入って新しい友達も出来ました」なんて描写したら「普通男出来ても出来なくても、ほぼ毎日会ってたような頃よりはそれなりに疎遠になっぺ」というようにしか見えません。しかも、共依存の友人がヒロインに対して嫉妬心を抱いた大きな原因はヒロイン周りの環境の変化に対してであり、別に男出来たことが理由じゃない、という描写をされてしまっていることや、結局この男は後半何の役にも立たなかった(=ストーリー上いてもいなくても変わらなかった)ということなどが、一連の恋愛模様シーンを無駄に感じさせる大きな要因となってしまっています。
 また、前半はストーリー的に「主人公には高校時代からの共依存の友達がいるということ」「主人公だけが大学生活に入り、新たな環境の中で共依存の友人と疎遠になっていったこと」「2人が共依存になった原因となる過去話」などが展開されてゆくのですが、 そのどれもこれも描写の仕方がとにかく露骨すぎて、赤コートの女=共依存の友人というのが非常に、非常に分かりやすいというのも大減点ポイント。話の流れ的に、「幽霊だと思っていたら本当は友人の仕業だったのか(驚愕)」という感じにしたかったんだと思いますが、とにかく演出がいちいち露骨すぎて正体判明後の驚きが一切ありません。初見で見ても正体バレバレです。

 なおかつ、そこからさらに「人間の仕業だったけど、実は本物の幽霊がいた」という感じの演出にするのなら、普通は正体判明後に「赤い女装って動画送りつけたり追いかけ回したりしたけど、あの時〇〇したのは私じゃないよ」的な話の食い違いがあって本物も別にいることが判明し、「人間が犯人だったと思ったけど本物もいたのか(更に驚愕)」的な流れをくむのが普通だと思うのですが、この映画では何の脈絡もなくいきなり本物登場するので、更に驚愕部分に関する驚きも一切ありません。ちょっと演出下手すぎるんとちゃう?
 そしてさらに付け加えるならば、(冒頭の都市伝説説明パートを除き)赤コートの女が初登場するのは映画の後半に入ってからその正体が友人だとバレるまでは初登場からほぼノータイムそもそも赤コートの女が初登場する後半突入までの間は都市伝説にかかる不可思議描写やホラー描写は一切なし、という明らかなバランス調整ミスも付与されており、前半はマジで人間関係描写と過去バナと恋愛ごっこのみで構成されており、肝心のテーマである「死の実況中継」に関連する見所は皆無というあんまりにもあんまりな出来栄え。これを退屈と言わずして何と言う。
 また問題点その2として、本命の赤コートの女登場後もこれといった盛り上がりがまるでない、というのも致命傷。そもそも、今回の怪奇である赤コートの女が舐めプかましまくって全然本気で殺しにこないので全く怖くないというのが何よりも痛いですね。走れるのにあえて走らないで逃げる隙を与える、正対されると意外と力負けする、それまで散々追ってくる&脇役は躊躇なく殺したのに、背を向けた主人公は刺さずに見逃す、出現条件も正体も不明など、とにかく行動に一貫性がない上に割と弱いので魅力が全くないんです。
 また主人公は主人公で、怪奇に追われているのにわざわざ人気のない方を選んで逃げる、いちいち反応がオーバー気味で見ていて鬱陶しいなど、こっちはこっちで酷い出来。特に酷いのがデスブログを彷彿とさせるラストシーンで、赤コートの女撃退後に目の前で刺されて弱ってる友人がいるのに、助けも救急車も呼ばずにベラベラと友情ごっこお喋りした末に死なす、という全くもって擁護不可な謎采配を見せつけてくる始末。刺されて弱ってる人の目の前で「生まれ変わってもまた一緒がいいね」と言い放ち、勝手に死亡宣告するあたりなどまさに悪魔。しかも、救急車を呼んでれば割と助かってそうだったところが笑いを誘います。
 というわけで総評ですが、「デスブログよりはマシ」の一言に尽きると思います。演出もストーリーも稚拙で、コンセプトは悪くないけれど構成が非常に残念。最後まで都市伝説に関する説明はほとんどないので釈然ともしない。見所がまるでないので、視聴することをお勧めはしません。
それでは、今回はこの辺で。
>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊