「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ラストシフト 最期の夜勤 のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

設定もう少し頑張ってほしかった。

 ネトフリで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“見ては、いけないもの・・・

ある晩、閉鎖が決まった警察署に新人の女性警官・ジェシカがやってきた。
彼女の任務は署内に残された有害な廃棄物を運び出す運搬業者を待つというもの。
しかし、業者の到着は遅れ、ジェシカは暇を持て余すうちに不可解な怪現象に遭遇する。
実は1年前、この署内で、悪魔崇拝のカルト教団リーダー、ペイモンが信者2人と自殺していたのだ。
その事を知らないジェシカは怪現象に動揺しながらも、同じ警官で殉職した父の教えを思いだし、任務を全うしようとする・・・(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
ホラー度…………C
キャラクター……C
設定………………C 
総合評価…………C
オススメ度………C
 
【良い点】
・映像的なホラー描写のレベルはなかなか
 
【悪い点】
・イマイチ設定を活かせていない部分が目立つ
 見終わっての第一印象は「良いとも悪いとも言えねぇ」でした。全体的に悪くはないんですが、良くもないと言う部分が目立ちます。警察庁舎で心霊現象、という設定はなかなか珍しいですが、そこ以外はまあ普通のホラーという印象でした。
【以下、ネタバレ注意!】
 今作ですが、警官新人のネーちゃんが警察庁舎の移行業務のため、移行最後の夜に旧庁舎での勤務を命じられる、というお話です。旧庁舎の警備に新人1人残して他は出払うブラックの鑑。普通交代とか見越して2人は残すでしょ。
 そして、その夜勤中に警察旧庁舎に巣食う霊が暴れ回る、というストーリー。
 というわけで、早速詳細な内容を見て行きましょう。まずは良い点から。
 今作の良い点は、映像的なホラー描写レベルはまあまあ高い、ということです。
 今作はホラー映画だけあり、映像的な意味でのホラー描写については結構頑張っています。「過去に発生した、警察署内での殺人鬼自殺事件以降、署内で怪奇現象が発生し、新庁舎移転を余儀なくされた最後の夜、警備を命じられた主人公が散々な目にあう」というような内容なのですが、主人公が遭遇する怪奇現象、これらの映像的なクオリティはなかなかでした。旧庁舎にかかってくるはずのないSOSの通報、署内に散りばめられた血痕、謎の怪奇音、各所で見える幻覚、etc…
 まあ、1つ1つの怪奇についてはなかなかベタなものが多く、同じような演出が続くためだんだん見慣れてくるという欠点もありますが、まあ怖いものはそこそこ怖いというところは評価すべきだと思います。できが悪いというわけでは決してなく、結構頑張っていた方だと思うので、ここに関してはなかなか良かった。ほんと、全体的に悪くはないんですけどね……。
 では、続いては悪い点です。今作の悪い点は、イマイチ重要な設定を活かしきれていない部分があるということです。
 「警察庁舎✖️心霊現象」というコンセプトに惹かれて今作を視聴したわけですが、まず何よりこの「警察」という設定をイマイチ上手く行かせていなかった印象が強いです。確かにこの事件の発端は、過去に起きた署内での殺人鬼自殺事件であり、その霊が署内で悪さをしている、ということになっているのですが、この超重要な過去に起きた殺人鬼自殺事件についての掘り下げが非常に甘い。何が起きたのかは大体分かるし、主人公(の父親)がこの事件の重要人物であることも一応語られるんですが、現在起きている騒動の発端ともなる超重要事件である割には、説明や扱いがあっさりしすぎているのです。
 そのせいで、少女たちが並んでいる幻覚やSOSの電話、殺人鬼の首吊り死体などなど、ホラー的にもストーリー的にもいかにも盛り上がってきそうな部分の演出が、「よくあるホラー演出」というだけに終わってしまっており、イマイチ盛り上がり不足な印象を強く受けました。主人公も、この事件で殺人鬼に父親を殺された、という深い関係があるにも関わらずそのあたりの掘り下げが非常に雑で、「設定や演出自体は悪くないのに、蓋を開けてみるとなんかイマイチ盛り上がらない」という、某アップでライジングな最新映画みたいなことに……。
 というわけで、なんかすごく短くなりましたが、あんまり書くこともないのであっさり総評に移ります。総評としては、最初にも言った通り、「可もなく不可もなく」な印象がすごく強い映画でした、決して面白くないわけではない、というのは強調したいところですが、ストーリーもホラー演出もキャラクターも設定も、全てにおいて色々と「甘い」です。

特に、せっかく警察庁舎という設定を持ち出してきて、メインキャラクターにも過去の事件の重要人物(の娘)を立てておきながら、その過去の事件について時間を割いて描写してくれなかった、というのがとにかく痛い。今作で起こるホラー現象も、その過去の事件に関するものばかりが起きるので、物語のどこかでその過去事件についてもっとしっかり触れて欲しかった。そうすれば、単なるよくあるホラー描写としか捉えられなかったシーンの数々が、もっとホラー味を帯びて感じられたのでは、と思うだけに残念です。テンポ自体も悪くなかったので余計に。

 それでは、マジで短くなりましたが今回はこの辺りで。また次回、お会いしましょう。
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