「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

聖ゾンビ女学院 のレビューです(総合評価Bー)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 起立! 気を付け! こんにちは。今日もレビューだレビュー!
今回は邦画ですよ邦画!
では、まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“新型ウィルスによって、人肉を喰らう死者=通称“ギンプ””が大量発生し、文明の99%が絶滅した世界――。
とある学園に、ひたすら戦闘訓練に励む7人の少女たちがいた。
家族をギンプに殺された孤児であり、外の世界をまったく知らない彼女たちは、
未来を託された人類復興の光ともいえる存在だったが、ある事件を機に、学園に対する疑惑を募らせる…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……B
キャラクター…B
ゾンビの質……C
設定……………C
総合……………B
おすすめ度……B
【良い点】
・少女たちの成長ムービーとして面白い
・アイドル映画特有のガバ設定と思わせてからの後半の伏線回収が気持ちいい
【悪い点】
・ゾンビがあんまり出てこない
・やっぱり設定にガバも目立つ
 存在自体が絶滅危惧種の和製ゾンビ映画です。日本製のゾンビ映画なので、アイドル主演も多少はね?
 ゾンビ自体はあんまり出てこないんですが、少女たちが自我を芽生えさせ真実に迫っていく成長ものとしてはなかなか楽しめました。
【以下、ネタバレ注意!】
 和製ゾンビムービーもっと流行って(切実)
 20年以上前に発生したギンプ(ゾンビ)により人類文明の99%が崩壊した世界。そんな中、残された人類は隔離環境の中でほそぼそと暮らしていました。その1つが、聖ゾンビ女学院。その学院で、7人の女子生徒(+教師)が対ゾンビ学を学びながら生活しています。今作は、その学院を舞台とした物語です。では、早速詳細な中身を見ていきましょう。まずは良い点から。
 今作の良い点は、ストーリーがなかなかユニークで面白いということと、前半の伏線を後半でしっかり回収していってくれることです。
 この映画は見ての通りゾンビ映画ですが、設定になかなかユニークな部分が散見されます。まず、主人公の少女たちはゾンビ発生による文明崩壊後に生まれた人類であり、学園の外の世界を見たことがないということ。また、人類が20年余りをかけて学んできた対ゾンビ用の知識を日々学んでいるということ。そしてこの映画は、この謎の学園に隠された秘密を少女たちが暴いて行く、という方面にストーリーの重きを置いています。
 具体的には、この学園は20年前に発生したゾンビ対策用の要塞……ではなく、人間よりもはるかに高い運動能力を持つゾンビの能力を応用した兵士量産計画の一環で建設された施設であり、ゾンビと人間との交配によって生まれた、知能も運動能力も人並み以上の水準を誇るハイブリッド型ゾンビ人間兵士の研究施設だというのです。主人公たち7人の少女はその研究成果であり、近く強化人間として出荷されるんだそうな。さらに、20年前に確かにゾンビは発生したものの、もうそんなパニックはとっくの昔に収まって、今はもう何事もなく世界は平常運転しているそうなんです。もちろんそれを知らないのは、ゾンビパニックを直に経験せずに施設内で一生を過ごしている彼女たちだけ。
 この、自分たちの出生の秘密と衝撃的な外の世界に関する事実を知った少女たちは、今まで自分たちで考えずにただ日々を過ごしてきた日常を壊し、自分たちの頭で考え、行動し、この学園からの脱出と第二の人生を掴み取るために立ち上がるのでした。まあ、内容的にはこんな感じの映画です。
 こんなちょっと変わったコンセプトの今作ですが、何よりまずストーリーが想像の上を行ってくれたのは嬉しい誤算でした。学園に何か秘密が、までくらいならよくある設定だと思うんですが、少女たちの出生の秘密にもそれが関係しており、しかもそれにちゃんとゾンビを絡ませてきてくれたこと、これは良かったと思います。また、「世界が滅んで20年経つはずなのにごみ捨て場から新品のビデオカメラ発掘」「世界滅んだ割に水も電気もバッチリある」「食事は野菜のみ、たまに芋虫見つけて大喜びで食べる」「噛まれたら2分で発症するらしいのに以外と平気」なんかの、序盤〜中盤にかけて散見されたガバガバに見える設定の数々が、実はちゃんとした伏線だったことに気がついた瞬間にも感動しました。「まあ所詮アイドル映画やし、いろいろとガバいのも見逃してやるか」くらいの気持ちで見ていたので、これらがちゃんと機能していたことにビックリです。舐めててすみませんでした。
 また、こんなストーリー展開ですから、今作の大きな見どころはゾンビとの戦闘というよりは、少女たちが自分たちの手で真実にたどり着き、それをもとにしてどう行動するか、という、キャラクターたちの成長部分に重きが置かれています。そしてこの部分にかかる描写はなかなか丁寧にされていた印象を受けたので、ゾンビ云々は置いておいて普通に少女たちの自我形成をテーマとした成長の物語として楽しむことができました。
 では、良い点は以上です。続いては悪い点を。今作の悪い点は、そうは言っても設定にガバが目立つという点と、ゾンビがあんまり出てこないということです。
 まずは設定について。先ほども申し上げた通り、この映画のガバく見える設定の多くは後半にきちんと説明されるんですが、最後まで一貫して説明されていた「ゾンビは人間の数十倍の筋力を持つ」という設定に関してだけは完全にガバ設定でした。もちろん予算的、映像的な問題があって表現できないという部分はあるでしょうが、それを差し引いても数十倍はあまりに盛り過ぎたというべきでしょう。せいぜい数倍だろ、と言いたいところですが、ぶっちゃけ生身の人間並み、下手をすると人間以下の能力しかあるようには見えませんでした。まあ普通のゾンビ映画だったなら「おいおい設定盛りすぎだろw」くらいで流せる部分なんですが、この映画ではこの「ゾンビの能力は人間よりはるかに高い」という部分については、この学園の秘密と少女たちの生い立ちにも関わる超重要事項なので、そこの部分がガバガバだったというのは最初から最後までとにかく気になった部分です。「ゾンビは再生能力と耐久力が半端ではなく、運動能力も高い」くらいに止めておいてくれたら良かったんですが……。
また、こっちは良い点の裏返しでもあるんですが、今作の見所のほとんどはゾンビとの戦闘ではない部分に置かれています。つまり率直に言って、ゾンビの出番はかなり少ないです。対ゾンビ訓練やゾンビ学講座に出てきはしますが、ゾンビとの本格的な戦闘は今作で1回しかありません。ゾンビとの戦闘を期待していた人にとっては、少々退屈に思えるかもしれません。
 というわけで総評ですが、率直に言って面白いです。普通のゾンビ映画的な見所には欠けますが、少女たちの成長ものとしてはなかなかよく出来ていました。ゾンビをうまく使った設定もなかなか見所でした。これらを面白いと捉えるか、ゾンビが出てこなくて退屈と捉えるかは人それぞれですが、個人的にはかなり楽しめたのでオススメしたい映画です。また、アイドル主演映画ということを考慮すれば演技レベルもまあ及第点なので、興味のある方は是非どうぞ!
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