「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的 のレビューです(総合評価Bー)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 これはなんてジャンルなんでしょう……サスペンス? スリラー? まあ、何でもいいか(開き直り)
 レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
『気狂いピエロの決闘』のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督による密室サスペンス。マドリードのバルで1発の銃声が鳴り響く。客が店の外に出た途端、頭を撃ち抜かれたのだ。ほかの客が撃たれた男の様子を見に行くと、さらなる銃弾が放たれ…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……B
キャラクター…B
設定……………C 
総合……………B-
オススメ度……B
【良い点】
・前半の怒涛の展開に引き込まれる
・後半はキャラクターたちの個性が光って引き込まれる
 
【悪い点】
・終盤にもうひと盛り上がり欲しい
・設定に無理がある部分が目立つ
 率直に言うと、面白かったです。前半は非常にスピーディーで次々と憶測と推論が飛び交い、この異常な事態に対する緊張感がよく描写されていて見事に引き込まれました。後半は後半で、キャラクターたちの個性が光る展開が多く、そちらも楽しむことができました。無理のある設定や終盤の盛り上がり不足は否めませんが、それを差し引いても楽しめた映画です。
【以下、ネタバレ注意!】
 絶対に「カフェごと異世界転生した系映画」だと思った。
 今作ですが、カフェから出た客が突然スナイパーに狙撃され、街中がパニックに陥る中、カフェの中に取り残された8人がスナイパーの目をかいくぐってなんとか脱出しようとするお話です。前半は。
 というわけで、早速詳細な内容を見て行きましょう。まずは良い点からです。
 今作の良い点は、前半後半共に違った見所があって、一粒で2度美味しい的な楽しみ方ができるということです。
 この映画はまず、朝のマドリードに一発の銃声が響き渡り、カフェから出た客が頭を撃ち抜かれるというシーンからスタートします。その後、彼を助けようとした清掃員も立て続けに撃ち殺され、店内は完全なパニック状態になる。こんな緊張感あるスタートを切ってくれます。いや、もうこのスタートがいいですね。無駄な描写は省いて、異常な事態をなんの説明もなくそのままぶっ込んできて、視聴者の興味をぐっと掴んでくるこの感じ。いやもう凄かったです、まさに開幕から引き込まれました
 そんなインパクトのある始まり方をしたその後も、この映画は失速を許しません。突然死体や、街中を歩いていた人々が綺麗さっぱり消えさったり、こんな事態にもかかわらずテレビではこの件に対する報道がないし、なぜかケータイは繋がらなくなってるし……そんな、街中で人が撃たれたことと同じくらい、もしくはそれ以上に奇妙な状況がノンストップで続きます。これには登場人物たちも完全に困惑し、各々が様々な推論を交わしますが、その様子がすごくリアルに伝わってきて、また見ているこちらも困惑マックスで見始めることになるので、いろいろな仮説を頭の中で巡らせることになり、とても楽しんで、また興味を保って見て入られました。政府実験? 異世界転生? オカルトな事象? それとも……そんな様々な推論が自分の頭で飛び交う。そんな素晴らしい状態が、とりあえず中盤まで続きます。
 中盤以降は雰囲気が変わり、極限状態に追い込まれた人間の心の弱さや醜さ的なものをテーマにする方向へとシフト。原因も「カフェにウイルスの保菌者が入店したため、それを封じ込めるための警察の作戦である」ということで(憶測ですが)ひと段落し、この辺りからはミステリー的な要素はなりを潜めます。しかし逆に、極限を突きつけられた人間同士がどう行動するのか、というキャラクター的な部分での見所が前面に躍り出てくるため、前半とはまた違った空気、見所を楽しむことができるのです。これはうまいと思いましたね。
 では、良い点は以上でした。これだけで終わりたいところですが、続いて悪いと思った部分を挙げて行きましょう。今作の悪い点は、設定に無理のある部分が目立つということと、終盤にもうひと盛り上がり欲しかったということです。
 前半後半共に違った顔を見せてくれる今作ですが、それを差し引いても気になったのはやはり設定面に関して。結局のところ、突っ込みたくなるポイントが多いんです。まあ、いきなり警官が保菌者候補相手に銃弾ぶっ放したところから今作がスタートした、というのはまだ良いとしても、これほど一瞬でマドリードの中心市街地から大量の人間を誘導することは出来るのかとか、こんだけ目撃者いたのにテレビに一切情報流させないほどの隠蔽をこのネット社会で出来るのかとか、意味深にテレビをジャミらせた意味は何だったのかとか、カフェ内の人間が気づかないうちにほんの一瞬で死体を血痕ごと片付けるなんて可能なのかとか、明らかにカフェ内には3人以上人間が立て籠もってたことは明白なのに、滅菌作戦のために踏み込んできて3人だけ焼き殺して満足するとか警官馬鹿なのかとか、何よりも下水道入るための穴が小さすぎることくらい明白なんだから穴広げるために近くにあるもので壊すことくらい最初に思いつけよとか、挙げだすともう次から次へと突っ込みどころが……まあ、詳しくは「見てくれ」としか言えないんですが、今作は「ウイルス封じ込め作戦のため」という説明、設定だけでは「いやいや」と言いたくなってしまうポイントがちょっと多すぎるかな、と感じました。
 さらに言うならば、今作は序盤にこの奇妙な状況に対する様々な推論が飛び交い、中盤にウイルス対策という一応の答えを出してくれた上で話が進行するのですが、そのウイルス対策説を確実に裏付けてくれる証拠が結局何もないんです。というよりは、劇中に登場する超重要アイテム、「ワクチン」がワクチンである保証が最後まで何もなく、エンディングでもこの事態に対するしっかりした説明もなければ、ウイルスの封じ込めに成功したのかどうかも分からないという、色々と未解決な状態のままエンディングを迎えるため、見終わった後もなんかイマイチモヤモヤしたものが残るんです。
 終盤のワクチン奪い合い&キチガイおじさんとの追いかけっこもそれはそれで楽しめたんですが、終わり方はもう少しこの事態に対する説明とかをしっかりやって、綺麗に締めて欲しかったな、と思います。まあ、このエンドはエンドで悪くはないんですが……。
 というわけで総評ですが、率直にいうと面白いです。主に設定面で気になる部分も多々ありますが、それを差し引いても飽きずに楽しんで見られる良い作品だと思いました。特に、序盤から中盤にかけての緊迫感はもうとにかく好きでした。
 かなり良い作品だと思いますので、気になられた方は是非どうぞ!
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