「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ブラッディ・ツイン のレビューです(総合評価Bー)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 ミステリーでホラーなモンスター映画です。あらすじが面白そうだったので借りてみました。
 レンタル版を字幕で視聴しました。吹き替えはついてなかったです。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“自転車便ライダーのヘレンは、トラウマ的な大事故に巻き込まれたことをきっかけにブラックアウトや幻想、夜驚症などに悩まされるようになる。
MRI検査の結果、頭に腫瘍ができていることが分かる。
その腫瘍の正体は、ヘレンと一緒に産まれることができなかった彼女の双子の姉妹“バニシングツイン””がゆっくりと成長したものだった―。
凶暴で奔放な“バニシングツイン””がヘレンを少しずつ蝕んでいき・・・。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……B
キャラクター…B
設定……………C 
総合……………B-
オススメ度……C
【良い点】
・ホラー描写の出来とセンスがなかなか良い
【悪い点】
・ラストが完全にモンスター映画
 途中まではミステリーでホラーな感じがすごく良かったんですが、最後の最後で完全にモンスター映画になってしまった、なんかよくわかんない映画です(思考停止)。バニシング・ツインという、双胎妊娠に関する実在の現象を題材にしており、扱っているテーマと発想、またそれに付随するホラー描写の出来具合はなかなか良かったと思います。
【以下、ネタバレ注意!】
 設定が面白そうだったので借りて観ました。なんか、腹の中で死別した双子が、自分の頭の中にいる……みたいな、一風変わったホラー映画です。一応、双子を妊娠中にそのうちの1人が母体に吸収される、というバニシングツインという現象は実在するらしく、それを題材にした映画のようです。
 では早速、詳細な中身を見ていきましょう。まずは良い点からいきましょう。
 今作の良い点は、ホラー描写の出来とセンスがなかなか高いということです。
 今作の序盤は、事故にあったことがきっかけで、主人公が奇妙な体験に巻き込まれることから話がスタートします。最初の段階は、一時的な記憶障害です。パーティーに参加した以降の記憶がなかったり、目を覚ましたと思ったら突然自転車乗って駐車場にいたり、しかも「彼を殺せ」とかいう意味不明なメッセージを無意識に書いちゃったり……そんな奇妙なことが続きます。
 次の段階は、幻覚です。具体的には、シャワールームや街中で突然謎の女性が見えるという症状に悩まされることになります。その後はさらに症状が悪化し、ついには無意識のうちに友人に危害を加えたり、映画の終盤では友人の彼氏を殺したりするように。設定としては、この間は頭の中にいる双子に自分の意識を乗っ取られている、という感じでした。
 もうお分かりの通り、今作はそんな特異な症状に悩まされる主人公を描いた作品なんですが、この奇妙な出来事に関するホラー描写の出来栄えは結構しっかりできていたように思います。記憶の喪失や幻覚、また、なんども捨てたはずの絵がいつの間にか自室に戻ってきている描写など、不気味な雰囲気はよく出ていたと思います。
 また、ホラー描写に並び、映像表現のセンスの良さもなかなか光るものがあったと思います。特に、主人公が双子の乗っ取りを受け友人を襲う→正気に戻る、という行動を短時間のうちに繰り返すシーンなどは、あえて双子に乗っ取られた際の描写を省いて正気な時の主人公の描写だけを描くことにより、主人公の困惑と恐怖がよく伝わってきました。また、主人公の中の双子が凶暴になり、主人公がだんだん正気を保てなくなっていく過程で、床に書いてあった「I am here」の血文字が「I am her」に変わるシーンなんかは結構センスに溢れてて、おぉっ、となりましたね。
 というわけで、良い点は以上でした。続いては悪い点を……今作の悪い点は、なんか急に終盤がモンスター映画になることです。
 先に述べたようにこの映画、途中まではすごくいい感じでミステリーなホラーをしているんですよ。自分の頭の中に棲んでいる双子に意識を乗っ取られ、無意識のうちに友人を襲ったり人を殺めたりしてしまう主人公の困惑や恐怖をよく描けているんですが……終盤、この映画はそれまでの方向性とは一転した展開を迎えます。
 まず、主人公が完全に正気を失い、頭の中の双子に完璧に意識を乗っ取られます。まあ、これはまだいいんですが、覚醒した双子はなんと主人公の身体から出ようとするのです。物理的な意味で
 具体的に言えば、まず腕の皮とか背中の皮とかを引っ張って剥ぎ剥ぎし、そのまま頭の皮も破って脱ぎ脱ぎ。そしてその中から、血まみれなもう1人の自分が生まれ、近くにいた友人に襲いかかってくるのです! いやもう、自分でも何言ってるかわかんねぇです。
 いや確かに、全身の皮を剥いでそこからもう1人の自分が生まれてくるシーンとかの迫力は結構すごかったし、映像的にもグロくて、全体的に地味目なシーンの多い今作では見所となるべき部分と言えばそうなんでしょうけど、ここで問題なのは、お前途中までそういう映画じゃなかったじゃん、ということです! 途中まではいい感じのホラーだったのに、終盤突然モンスター映画になったらついていけないよ……個人的には、最初の感じの不気味なサイコホラーな雰囲気で駆け抜けて欲しかったんです。まあ、この辺は賛否あるところだとは思いますが、個人的には微妙でした。
 総評ですが、中盤まではなかなか良雰囲気のミステリアスなサイコホラー終盤は突然のモンスター映画、というような感じの配分でした。この大きな転換を受け入れられるかどうかで評価が分かれそうです。私はダメでしたが、これはこれで、という方もいらっしゃるかと思います。
 しかし逆にいうと、個人的にはその方向転換以外に不満点は特になく、楽しめた映画でした。気になった方は見てみると良いのじゃ!
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