「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ドント・ハングアップ のレビューです(総合評価B)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 たまにはサスペンス映画もいかが? ちなみにですが、某ドントなブリーズとは当然関係ないよ!
 レンタル版を吹き替えで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】

【あらすじ】
“生きたければ 何が起きても 電話を切るな・・・

モズリーとブレイディはイタズラ電話で人をダマし、その様子を実況しながらSNSに流して反応を楽しむ悪質な遊びにハマっている。
2人はいつものように酔った勢いで知らない番号に電話し、ある男に繋がる。
いつものようにダマそうとするが、全くこちらの意図に乗ってこず、面白くない2人はすぐに電話を切る。
すると今度は家の電話が突然鳴り出す。その電話は先ほどの男からの折り返しだった。
その男はなぜか2人の名前を知っていて、次第に男の異常性があらわになってくる。
2人のいるリビングのTVが突然ONになり、映し出されたのは監禁されているブレイディの両親だった!
さらに2人の友人も囚われの身となり、半殺しにされている。そしてモズリーの彼女にも何者かが襲い掛かる様子が映し出される。
2人の大切な人たちを次々とターゲットに狙うその男の目的とは―?(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……B
キャラクター…B
設定……………B 
総合……………B
オススメ度……C
【良い点】
・展開が早く、ストーリーに寄り道も少ないので飽きずに見られる
・犯人がちゃんと有能
【悪い点】
・強いて言えば緊迫感不足?
・内容が不快
 個人的にはかなり良くできていた映画だと思います。ラスト付近で犯人が仕掛ける罠にはそこそこ驚かさせられますし、見ていてダレる事もあんまりなく、退屈せずに見られました。ただ、人によっては強い不快感を感じる描写が多々あるため、合う合わないは確実にあると思います。
【以下、ネタバレ注意!】
 今作ですが、復讐系サスペンス?映画の傑作となります(当社比)。内容的には、完全に犯罪レベルの自称イタズラ動画をyoutubeにアップして再生数稼いでる低脳クソ雑魚ファッキンyoutuberの主人公2人が、過去に自分たちのイタズラによって被害を被った男から決死の復讐をされる、というお話です。なお、相手の男は主人公たちを殺す気満々でトラップを仕掛けてくるため、「イタズラの仕返しにイタズラし返してやろう♪」的なアットホーム要素は一切ありませんので悪しからず。
 それでは早速、内容を見て行きましょう。まずは良い点から行きましょう。
 今作の良い点は、展開が早いので飽きずに見られることと、犯人がちゃんと有能なので見ていて楽しめるということです。
 この映画はその構成上、謎の犯人がクソガキども相手に復讐を仕掛けるシーンからが本番となるわけですが、このシーンに移行するまでの流れはなかなかスムーズ。序盤に冗長な会話シーンとかを入れて開幕失速をしたりもせず、序盤は必要最低限の描写に止めてくれるため気持ちの良いスタートを切れます。そうでありながら、主人公たちのクズっぷりの紹介と、犯人の犯行動機につながる重要なシーンの描写等、入れるべきものはきちんと入っているため好印象。
 特に、主人公たちが非常に悪質なイタズラ動画のアップをしている部分の描写は、長すぎず短すぎずのちょうどいい塩梅、かつ主人公たちのクズっぷりが存分に伝わってくるよい構成だったと思います。こういうシーンって、短すぎると主人公たちのクズさがあんまり伝わってこないし、長すぎると本題開始前にだれてしまったりで調整失敗しやすい部分だと思うのですが、この映画はその辺の調整が上手だったと思います。
 という具合によいスタートを切った後も、この映画は基本的に失速を見せません。犯人からの脅迫の電話がかかって来てからも話があっちこっち寄り道することなく、家に閉じ込められて身動きのできない主人公たちと、それを見て楽しむ犯人という2者にしっかりと寄り添った構成になっており、かつイベントごともそこそこ豊富な頻度で発生するため、見ていて飽きが来ませんでした。スタートからゴールまで、寄り道なしで飽きさせずにちゃんと走り抜いてくれたことは大きな評価点だったと思います。
 次点で、犯人の有能さについて。こちらもしっかりと評価してあげたい部分です。先述の通り、この映画は謎の犯人がクソガキ主人公どもに復讐を果たす、というお話なのですが、私がこの映画を視聴中一番気がかりだったのは、「犯人が途中で復讐を諦める(失敗する)のではないか」ということでした。というのも、こういう100%原因が主人公たち側にある系の復讐ムービーって、そのまま犯人が復讐を完遂する率もさる事ながら、割と途中で情に流されて復讐を辞めちゃったり、逆に手を抜いたりナメプしたりして一転攻勢されたり、っていう作品も多いじゃないですか。
 私はこの映画を見始めたとき、あまりに悪質なイタズラ動画を投稿して再生数稼ぎをする主人公どもの悪行を見て、「おう頼むから容赦なくコテンパンに殺してくれや」という気持ちで見ていたので、犯人が復讐に失敗しないかどうか、これがすごく心配でした。ですが、今回の犯人は「容赦のなさ」に関して言えばしっかりと有能で、主人公たちに同情することも、手を抜くこともなく、きちんと自分の筋書き通りに主人公たちを動かし、しかも自分の犯行ということが世間にバレることなく、復讐を完遂してくれます。
 まあ、主人公たちの親とか彼女とか、主人公たちの悪行とは”直接には”関係のない周りの人間も殺したりするので、見終わってスカッとする、ということはないのですが、冷酷に計画を完了したこの有能さは評価してあげたい部分でした。犯行の動機も、「主人公たちのイタズラがすぎたせいで自分の妻と娘が死んだため」という、実にこちらの同情を引きにきてくれる理由であるため、「こんなイタズラくらい大目に見てやれよ」「そんなくだらない理由かよ」という冷めた気持ちにさせてくることも無かった、というのも評価点
 というわけで、「クソゴミ再生数乞食どもに制裁を」というこちら側の要求と、犯人の行動がしっかりと一致してくれたので、見終わった後もある種の満足感というか、達成感を得られたのは良かったです。
 さて、ここまではよい部分について触れてきましたが……では次は、この映画の悪い部分についてです。しかし最初に断っておくと、私は個人的にはこの映画に対しての不満点はほぼなく、復讐系サスペンスB級映画としてはかなり満足のゆく出来でした。強いて言えば、今作は家に閉じ込められ、謎の相手から命の危機に関する脅迫をされた主人公たちが生き残るために何とか足掻こうとする、という内容であるにもかかわらず、主人公たちがあまりにクズすぎて同情の余地が一切ないため、どうしても「犯人頑張れ」「おうとっととブッ殺せや」という様に犯人贔屓の視点で見てしまうため、「犯人がちゃんと成功するか……!?」という様な意味での緊張感はあれど、「この状況から脱出できるのか!?」的な、主人公たち視点から見た緊迫感、緊張感的なものは一切感じられません。そういう意味では、内容の割に緊迫感不足と言えなくもない……のか?
 まあ、上に書いた内容は半分冗談めいたものではありますが、しかし、この映画はその構成上、見る人が見ればかなり不快な内容になっていたので、それが悪い部分と言えなくもないでしょう。何が不快って、犯人の犯行がどうとか死人が出るとかではなくて、主人公たちのイタズラ描写があまりに過激というか、度が過ぎていて非常に不快なんですね。例えば、一般人相手に勝手に宅配ピザ送りつけるところまではまあ百歩譲って目を瞑るとしても、その一般人相手に警察を装って電話をかけ、不安を煽りまくった挙句、宅配ピザ持ってきたピザ屋を不審者に見立てさせて射殺一歩手前までトラブらせるとか。
 また、これは犯人の犯行の動機にもなる部分ですが、これまた一般人の家に警察を装って電話かけた挙句、「お宅の家に不審者が侵入し、娘さんを人質に立てこもっている。今から突入する」とか言った後、あたかも幼女の救出に失敗して彼女が死んだかのような言動をとり、母親を絶望のドン底に突き落とし、それを勝手に動画配信して笑い者にしてるとか……笑えないよ!
 まあ、これを見て「おうおうこんな奴ら死んで当然だよなぁ!? おう犯人やったれ!」というような心境になれば良いのですが、人によっては「いくら映画でもただただ不快」と感じる人もいるでしょう。もしそうなってしまうと、これはもう映画を楽しむだとかストーリー構成がどうだとか、んなこと言っている場合ではなくなります。つまり、内容的になかなか人を選ぶと思うんですよこの映画。そこが悪い点というか、この映画の問題点だったのではないでしょうか。
 というわけで総評ですが、内容的にはなかなかよく練られていて楽しめるものの、みんなに勧めたり、みんなで楽しく観られる映画かというとそんなことはない、というタイプの映画だったと思います。個人的にはかなりの当たりだったんですが、ネット上で評価を見てるとみんながみんなそう思っておられるわけではないので、内容も考慮してオススメ度はちょっと下げておきました。私としても、積極的にみんなに勧めるような映画ではないです。
 しかし、よく出来ていることには間違いなく、かつ私個人としてもかなり好きなタイプの映画だったので、気になった方は是非どうでしょうか! 事前に「そーゆー映画」だと分かって見ればそんなに不快でもないですし! オチに対しての評価もこれまた別れる部分ではありそうですが、個人的にはオチも含めて好きだったので、もしもう見られた方は感想聞かせてくれよな!
>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊