「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ダウンヘル のレビューです(総合評価C−)

(画像:Amazon商品ページより引用)
レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
BMXレーサーのジョーは、チリの山中で行われたレース中に親友を事故で亡くしてしまう。傷心のジョーは恋人のステファニーと街で開催される展覧会のため山を下りることに。道中、何かに感染したと思しき衰弱した男と遭遇。その直後、激しい銃撃とともに謎の武装集団が襲ってくる。その衰弱した男と武装集団は関わりがあるようだ。武装集団のいわれなき標的となってしまった2人だったが、これは最悪な一日の始まりに過ぎなかった…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………C
キャラクター……C
設定………………D
総合………………C−
オススメ度………D

【良い点】
・割と展開に引き込まれるので、飽きずに見ている分には問題なし(個人差があります)
・メイクの出来とか結構いい
【悪い点】
・終盤意味不明
 終盤で完全にやらかしてしまった部分だけを除けば、個人的には結構好きなタイプの映画でした。序盤の展開もギリギリダレない程度の引っ張りで、そこから非日常へと急転直下していく感じはなかなか引き込まれます。反面、終盤はどうしてこうなったのかと言いたくなるようなクッソてきとーな展開の連発で、かつ設定の説明とか色々ぶん投げてそのまま終わりやがるので、間違いなく人は選ぶでしょう。ご利用は計画的に。
【以下、ネタバレ注意!】
 ネット上だと批判が目立つけどそれほど悪くないと思った(ラスト除く)
 序盤に積み上げたフラグという名の橋を、終盤は完全無視して川に身投げするような映画だった(意味不明例示)。
 さて、今作は某所のあらすじでは『驚愕の展開に「えっ、なんで! ?」』と紹介されていますが、マジで「は、なんで?」となった瞬間にそのまま終わる映画です。「なんで!?」って思わせた後に「あっ、なるほど!」と思わせられるのが面白いのであって、疑問を持たせるだけなら素人でも出来るって、それ一番言われてるから。
 では早速、今作の詳細な内容を見て行きましょう。まずは、良い点から。
 今作の良い点は、中盤くらいからの展開がそこそこ良いことと、メイクとかの出来がそこそこ良いので冷めないで見られることです。
 では、前半の展開についてですが、その前にまずは今作全体の大まかな流れの説明を。今作は大まかに区切ると、
①プロローグ(友人事故死)
→②数年後、バイクレース参加の誘い
→③日常パート
→④事故ったおっさん発見伝、救援要請
→⑤謎集団の襲撃
→⑥逃走劇
→⑦フラグ建築パート(ウイルスがどうとか)
→⑧捕まる
→⑨意味不明(エンディング)
という感じな構成になっております。この中で、まあ⑨は論外としても、④〜⑧までの展開はそこそこ引き込まれ、中々悪くありません
 それまでの日常から一転、とある血だらけの男との出会いを機に謎の武装集団に襲われ、追われる一行。日常から非日常への転落。果たして、相手の集団の目的は?この男は何者なのか?感染とは?彼らは、無事に帰れるのか?……少なくとも、中盤はこういう疑問をガンガン提示してきてくれるので、私としては『どういうオチに向かうんだろうな』と興味を持って視聴することができて、悪くない出来だったと思います。
 まあ、「バイクレース出るような奴らが友人事故死させてふさぎ込んだり、レース出るために海外来たり、観光先でナイフで脅されたりして山登ってるのっていうほど日常か?」とかいう意見も出そうですが、いいんだよ、事件が起きてない=日常で。

とにかく、序盤はちょっと無駄多め気味ですが、それを超えた先の中盤、非日常編に入ってからの展開は悪くなかったと思います。序盤は序盤で、前振りに飽きてきてダレてきそうな絶妙なタイミングで非日常編へと突入していくので、それほど飽きずに本筋へと突入してくれたのも良い感じです。総じてここまでの展開は、まあまあな出来を保てていたと言って差し支えないかと思います。
 また、今作はメイクの出来がそこそこ良いということも、中盤の飽きにくさに一定の貢献をしてくれていました。今作の登場人物の中には、謎のウイルスに感染したことによって、身体中にブツブツができたり、なんかキノコ?フジツボ?みたいなのが身体のいたるところに出来たりする人がいるのですが、これの描写というか、クオリティがそこそこのレベルに達してくれているというのは嬉しいところ。こういう細かな部分で、以降の視聴意欲が結構変わってくるので、これについては素直に褒めたいと思いました。
メイクの出来良し、中盤の臨場感良し、先を見たくなるような仕掛け良しと、ここまでなら普通に面白そうな感じすら受けるのですが、やはりそこはクソ映画、ここからがやばいんです。では、以下には悪い点を。
今作の悪い点は、何と言ってもとにかく終盤の展開が意味不明極まるということ、これに尽きるでしょう。

先ほど、①〜⑨までに分けて構成を紹介しましたが、⑧捕まる、くらいまでは割と興味を持って見ていられるんですよ、マジで。多くの謎を残したまま、話が動き出す展開にはそこそこ引き込まれますし、そこからの追われる展開もテンポがなかなか良いので悪くありません。しかし、この敵に捕まった後、謎の小屋に連れてかれてからの展開だけはマジで意味が分からないんです。意味が分からないというか、完全にガンギマって作ったとしか思えない。
 いや、この感染の正体が、謎の寄生虫によるものだった的なことが分かる展開はまだまともなんですがね、なんか突然小屋に大量のヤギが出てきたり、なんの脈絡もなく唐突に心霊チックな謎の手形が壁にドバーッ!っと付いたり、指差し確認厨全裸ババアとおっさんたちがキメセクしてる映像見せつけられたり、最後の最後に来て風呂敷を一気にでりゃあ!とおっ広げたまま何のフォローもなく終わるんですよこの映画。
 「は?なんでヤギだらけなの?」とか「このババア何?」とか「この手何?」とかいう、終盤一気に出てきた謎について完全スルーするどころか、「結局主人公たち追ってた集団はなんだったの?」とか「この寄生虫は何?」というような、中盤からずっと続く疑問についてもこの映画は応える姿勢を一切見せてくれません。中盤以降風呂敷を広げるだけ広げていったまま、そのまま一切畳むことなく突然終了する姿勢はもはや清々しさすら感じるほど。まあ、確かにあらすじにもある通り、『驚愕の展開に「えっ、なんで!?」』とは思わさせられましたが、それだけでした。なんで?って思わせるだけなら素人でも出来るって、それ一番言われてるから。
 しかしもしかすると、こんな意味不明展開連発して突然終了した今作にも、キチンとした答えのようなものはあるのかもしれません。実際、この寄生虫のことや謎の集団の正体などに関して、「もしかすると、ここはこういうことなんじゃ……?」という想像を巡らせる程度の興味と憶測は持てました。
 しかし、その答えを推測するのに必要な情報が少なすぎるんです。なんというか、全体通して問題提起だけで映画が終わってしまっているので、この後に解決編だとか、別主人公の本編が始まっても違和感がないような感覚。言うなれば、今作は90分丸々使ってプロローグやってるように感じました。他に例えるなら、ホラゲの体験版だけやらされた感じでしょうか。
 まあ、これがただのプロローグだとか体験版だったんならまだいいんですけどね。この後に続く本編で、これらの謎が全部解けるんだろうなー、って思えるから。しかし今作は、このプロローグ自体が本編なんです。なんだこれは。
総評ですが、終盤まではそこそこ見ていられますが、捕まって以降の展開は完全にやっちまってます。というか間違いなくクスリ決めて作ってます、それくらい常人には理解できない代物でした。
 もしこれを最初からなんの設定や整合性もなしにただただやりたいように作っただけなら論外ですし、逆に何か全てに納得のいくちゃんとした答えがあるんだとしても、これだけ不親切な設計にしておいて視聴者がついてこられると思っているのなら相当なアホでしょう。まあ、逆に情報が少なすぎるせいで色々と想像を巡らせる余地はあり、あと3回くらい見れば何か掴めるかもしれない気はしてますが、それだけする方はこの映画にはないと思います。中盤〜終盤にかけては意外と出来が良かっただけに、この投げっぱなしの終わり方は残念だと思った。
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