「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

モンスター・フィールド のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

レビュー動画作ってたら更新忘れてました(小声)

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmason先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“謎 の 怪 物 が 人 間 を 喰 い つ く す ! !
地下室でいなくなった飼い猫を探していたダニーは、家の外が騒がしいことに気付く。すると、突然書斎の窓ガラスが割れ、弟ウィリアムと話していた父親が謎の生物に襲われてしまう! さらに何体もの怪物が家の中に侵入し、ダニーとウィリアムに襲いかかってくるのだった。2人は地下室に逃げこみ一晩を過ごすが、買い物で外出したままの母親を探すため外に出ることに。しかし、街は破壊され、怪物に喰い荒らされた人々の死体で覆い尽くされていた。一方、政府は事態収拾のための最終手段として、毒ガスを散布し街ごと壊滅する作戦を計画。生存者には軍用ヘリからガスマスクの投下を決定するのだった。ガス散布までのタイムリミットはわずか15分。マスクを取りに行こうと急ぐダニーたちだったが、その時彼らの目の前に、怪物の大群が現れ…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……B(おまけ)
モンスター……C
キャラクター…B
設定……………D

総合……………B-
おススメ度……C

【良い点】

・キャラクターの出来がなかなか良い

・基本飽きずに見ていられる

【悪い点】

・とにかく緊迫感不足

とにかく、本来ならば損をする必要のない部分で大きな損をしている映画です。ストーリーの出来もキャラクターについても結構良く出来ているのですが、とにかく緊迫感が足りません。街中を突如モンスターが襲って、生存者もほとんどゼロみたいな設定のくせに、血痕も死体もないのはおかしいだろうがよそれよぉ!

【以下、ネタバレ注意!】

 色々ともったいない映画だと思った(率直)

 さて今作ですが、謎のモンスターが突然現れて町中の住民が殺され尽くしてしまった世界で、学生の主人公と弟君が母を求めてスーパーまで行進する映画です。まあ、舞台は実家と学校なんですけどね。
 では早速、詳細な内容を見ていくことにしましょう。まずは良い点から。
 今作の良い点は、キャラクターたちの出来の良さと、基本的な構成などは良く出来ているので、飽きずに見続けられるということです。
 まずは、この映画の基本的な部分についてお話しします。今作は見ての通りモンスター映画ですが、モンスターの登場時間自体はかなり短めになっております。いえ、別に前半はダラダラした日常パートばっかりなせいでモンスターの出番が〜、というわけではなく、モンスターが街を襲うのは早いのですが、モンスターの姿を意図的に映さないようにしているんです。例えば、モンスターとの初遭遇シーンは鉄製の調理器具に反射した姿がぼんやりと映るだけですし、その後も遭遇シーンは、お風呂の布ごしだったり、車の屋根の上から爪部分だけが覗いていたり……と、なかなかはっきり全貌を現そうとしません。
 結局、モンスターの全身が映るのは物語の終盤も終盤になってのことでした。しかし、これだけモンスターの姿を出し惜しみしているにもかかわらず、物語全体にはしっかりと緊張感や緊迫感が保たれていた、というのはなかなかすごいことだと思います。なんというか、モンスターの全身を映さずに遭遇、逃走するシーンの描写の数々が、結構センスが高いんですよ。さらに、あえて姿を全部見せないことによって、見ている側としては想像をかき立てられられたりして良かったのかな、とも思いますね。これについては賛否ありそうですが
 個人的にはこの意図的出し惜しみは良かったと思います。
 また、物語全体の構成のバランスがなかなか良かった、というのも高評価なポイント。まずは日常描写でキャラクターの個性や関係性を描きつつ→実家でモンスターの襲撃に遭い父親死亡→地下室での籠城があって、そこに一般通過おじさんが合流→外の様子を聞きつつ、母がいるであろうスーパーに行く決意を固めるも、おっさんとの一悶着があって弟とはぐれ→そのまま学校編へ突入、という流れ。この展開の一つ一つが長すぎず短すぎずなバランスで、クドさを感じたり話が進まなさすぎてイライラしたり、ということが特になかったのは良かったですね。
 まあ比較的、地下室籠城パートについては結構長めなのですが、見知らぬおじさんが1人合流して外の様子を聞くことができたり、地下室からなんとか外に出ようとして対策を練ったり、実家の中をぐるぐるしているモンスターに見つからないようスニーキングミッションしたり……など、展開自体は常に動いていたのでクドさなどを感じることもなかったです。この辺のバランスの取り方は上手かったと思いますね。まあ、学校編に突入してからは、突然町全体に毒ガス撒く話とか出てきてかなり唐突感はありましたが……。

 そして、キャラクターについて。この映画の重要な要素の1つとして、キャラクターの成長と兄弟愛、というテーマがあります、多分。今作の主人公は最初、まさにクソ雑魚童貞ナメクジを具現化したかのような存在で、いじめられっ子にはされるがまま、弟がピンチでも保身に走って見捨てる、好きな子をDQNを取られそうでも指をくわえて見ている、 という絵に描いたような残念ボーイなのですが、この一連の騒動を通し、弟やみんなを守るために自分から危険地帯に赴き、DQN相手に怯むことなく物申し、挙句彼女までゲットするというハイスクール生の鏡のような青年に成長してくれます。まるで、ヒーロー願望があるその辺の一般学生の妄想を映画にしたみたいな内容ですが、こういうの嫌いじゃないわ。

 またキャラでいうと、前半の日常パートの部分でしっかりとキャラ同士の関係性や個性を描くのに成功していること(母⇄弟の良好な関係、DQNとヒロインと主人公の関係、主人公のダメさなど)や、途中に出てくる、息子を亡くした正気度ロール失敗一般通過おじさんの存在感がこの事態の異常さを引き立たせる材料としてしっかり機能していたことなど、キャラクターの出来については結構良く出来ていたと思います。というわけで、良い点は以上。
 続いては悪い点を。今作の悪い点は、緊張感がまるで足りないことです。というか、モンスターが街中闊歩しているという割にはあんまりピンチな感じがない、っていうのが……。
 先ほど、この映画はストーリー構成のバランスが良く、全体的に緊張感が保たれている、という話をしました。それについてはその通りだと思うのですが、今作、ストーリー構成的にはそうであるにも関わらず、それ以外の描写の部分でその緊迫感をぶち壊しにするかような、超重大なミスを犯してしまっているのです。それは、今作には流血描写や死体が映るシーンが殆どない、ということなのです!
殆どというか、私の記憶では1回もなかったような……。
いや、別にですよ、こんな青春モンスター映画にグロさを求めているつもりは毛頭ありませんから、「モンスター映画なんやからもっとグロくせいやああぁあぁ人間の死体やら欠損部位がゴロゴロ転がって流血ドバドバくらいのバランスでちょうどええんじゃああぁぁ!!」なんてことを言うつもりは全くないんですが、さすがにですよ、街中が突然モンスターに襲われて、生存者なんて絶望的、通路じゃ人がどんどん死んだ、みたいな話をしていたのに、外に出てみると死体どころか血痕1つないのはもう違和感しかなかったんですよ。「え?
本当にモンスターって人襲ってんの? 実は連れさってるだけなの? これが重要な伏線だったりするの?」
とか無駄に余計なことに気を取られてしまう程度には気になってしまった。
  モンスターをあえて出し惜しみするのは大いにありだと思うのですが、それであればやはりモンスターが暴れているという証拠や、そこにモンスターが『確かにいる』ということを示す間接的な証拠となる「転がった死体」や「飛び散った血痕」などのアイテムは、過剰に出せとは言いませんがやはり必要不可欠なものであると思うのです。今作はそれどころか、人間が壁の向こうに引きずられる描写だとかも殆どありませんでしたから、「モンスターが町中で暴れている」というのを非常に実感しにくくて、イマイチ危機感を感じられないのです。モンスターの襲撃を受けたはずのパーティー会場(プールサイド)に血痕の1つもないって完全におかしいだろうがそれよぉ!
 まあこれがですよ、クレしんのサボテンの映画みたいに、明らかに欠損描写や血痕を出すことができない事情があり、それを見る側も承知しているような状態ならともかく、そうでないのならわざわざ危機感を感じにくい仕様にしてしまったのは非常に勿体無いことをしたと思います。本来ならば損をすべきではない部分において、損をしてしまっている感が否めないんです。それとも、デンマークはその辺の規制が厳しいんでしょうか。詳しい人教えて(無知)

総評ですが、基本的に良く出来ているんですが、なんとも損をしなくてもいい部分で損をしてしまっている映画だと思いました。まあ、ストーリー的にも残虐描写がない点においても、青少年向けの健全なモンスター映画……と言えなくもないかもしれませんが、それにしたってもう少し……ね。出来自体は結構良かったので、気になった方はどうぞ!

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