「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

口裂け女VSカシマさん のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

「そういえば最近ジャパニーズホラー見てねえなぁ」という軽い気持ちで手を出しました。

まあ、口裂け女は知らない人はいないとして、「カシマさんって何だよ」という方がいらした時用に、Wikipediaの文章をそのまま貼っときますのでご参照ください。知ってる人は飛ばして。

【カシマさんとは?】

「過去に起きた悲惨な事件」の話を知ってしまった者に、電話や夢で「謎」の問いかけがある。これに正しく答えられないと身体の一部を奪われ死ぬ、というもの。その導入部の一例として

  • 「戦時中、米兵に両手足を撃たれ、苦しみ抜いて死んだ郵便配達員がいた」
  • 「終戦直後の混乱期に、米兵に強姦された女性が列車に投身自殺をした」

などがあり、他にも数多くのバリエーションが伝わる。

近年は女性と言われることも多いが噂の発生時には男性の傷痍軍人だったとも言われる

最近のインターネット上では、「終戦直後の米兵が行き来する時代に、女性が米兵に強姦された挙句に両手足を撃たれたが、そこを医者が通りかかって一命を取り留めたが両手足を失い、女性は自分の美しさにプライドを持っていたので、そのショックで列車に投身自殺をしたが…」というパターンが見受けられ、上記二つを混ぜ合わせたと考えられる。

また、上記以外にもトイレに現れるパターンもあるが一律して「聞いた人間の所に現れる」「命を奪われる」「体が欠損している」のいずれかが織り込まれている。

Wikipediaから引用)

さて今作ですが、レンタル版を見ました。まずは予告編&Amazon先生のあらすじからどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

最恐のJホラーヒロイン、口裂け女とカシマさんの対決を描いたオリジナルホラー。通り魔事件で亡くなった18歳の女子高生・青木美絵。彼女と親友だった稲村八重子は、後輩の川辺ののかと中村愛と共に、美絵を殺した犯人を捜し始めるのだが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

↑えぇ……こんなストーリーじゃなかったと思うんですけど……

ストーリー……D
幽霊の質………C
キャラクター…C
設定……………D

総合……………D+
おススメ度……D

【良い点】

・クッソ短い(65分)

・序盤のテンポの良さは異常

【悪い点】

・話がクソ単調

・主人公たちの頭が弱い

・意味不明なオチ

序盤はクッソテンポがいいので、なかなかダレずに見られていい感じだったと思います。しかし、いつまでたっても話が単調で進展がないこと、主人公たちの頭が弱いこと、そしてオチが意味不明すぎて脳が焼き切れることなど問題は山積み。「まあ、短いからいっか♪」の一言で済ませるには結構無理がありますねこれは……。

【以下、ネタバレ注意!】

最後の10分ほど何が起きたのか僕の頭では処理しきれませんでした(敗北)。ストーリー解説に自信ニキの登場が待たれる。

 さて今作ですが、パルクールしてそうなアグレッシブ口裂け女と、これといって特徴のないカシマさんの両方に追いかけられながら恋愛ごっこしてたら、自分たちが口裂け男とカシマさんになって殺し合いをして2人は幸せなキスをして終了するお話です。

意味分からないだろ? 俺も分からない。

ではとりあえず、そんな謎に包まれし今作の詳細な中身でも見て行きましょうか。まずは良い点からです。
 この映画の良い点は、クソ短いのでサクッと見られるということと、序盤だけは話のテンポが良く先に期待が持てたということです。序盤だけは。
 まずこの映画、わずか65分程度しかないので、見る分には割とサクッと見られるというのは嬉しいところ。サクッと見られる(ストレスがないとは言ってない)。まあ、それは置いておくとして。
 では、本命の良い点について。この映画ですが、本編時間が短いこともあってか、序盤の展開の早さはマジで評価できます。ダラダラした日常パートなどはすっ飛ばしつつ突然口裂け女を登場させたかと思うと、その後は主人公たちがカシマさんに遭遇、そのまま男女2人は2体の怪物に追われるように……という導入部分の流れについては、ほぼ完璧だったと言っても過言ではないのではないか、そう思わさせられるほど見事な導入でした。
 全く飽きさせることなく2体の怪物を登場させておきながら、メインとなる2人の男女の関係性の描写にも手を抜かず、「なぜ、彼らが追われるのか?」という映画全体に関する重要な謎を提示しつつも、口裂け女のアグレッシブさなど見どころもちゃんとある。さらに、口裂けに襲われるモブの描写→そのモブの彼氏(主人公)とヒロインの会話→ヒロインの彼氏(モブ)がカシマさんに襲われる描写→主人公とヒロインが2大怪物に追われるように、という展開の移り変わりのスムーズさが、これまたなんとも良く出来ています。この、2人が怪物に追われるようになるという、序盤の15分くらいの展開は本当に良かった
 さて、これからこの怪物たちの正体(なぜ、急に2体が現れたのか)だとか、なんで主人公たちが急に付け狙われるようになったのかだとか、そういう謎が少しずつ解けていきながらも、この2体の対決シーンが挿入されながら話が進行していくんだろうな、そんな期待感を持たせてくれる良い導入でした。まあ、持たされっぱなしで投げ出されましたけどね(憤慨)

 では、良い点は以上でした。続いては悪い点を。今作の悪い点は、話がクソ単調であること、主人公たちの頭が弱いこと、そしてなにより、意味不明極まるオチです。特に、オチについてはクッソ唐突かつ開いた口が塞がらなくなるほどの超展開なので、見ていて完全に言葉を失いました。これに合理的説明はつけられるんですかね……。

ではまず、話の単調さについて。この映画、確かに序盤の展開の早さについては素晴らしいです。素晴らしいのですが、その展開の早さが続いたのは本当に導入部分の序盤だけ。2体の怪物の登場と簡単な紹介が済んで以降、主人公たち2人が口裂け女とカシマさんにストーカーされるようになってからの展開はもう本当に酷いの一言で、基本的に話が全く進まないんです。進まないというか、進める話がないのが透けて見えるほど中身がペラペラだとも言えますね。

 まあ、逃げてるシーンばっかりになるのはテーマ上ある程度仕方ないとは思うのですが、会話面においては『先に述べたような「なぜ、2大怪物が突然現れたのか」とか「なぜ、主人公たちは逃げても逃げても付きまとわれるのか」というような重要な疑問を完全にほったらかして、逃げすがら出会ったサイコパスの話とか恋愛ごっこのどーでもいい話とかばっかりやりやがるせいで、ずっと同じところで足踏みしているように感じる』、戦闘面においては『口裂け女とカシマさんに襲われて逃げるシーンばっかりで、そいつらをなんとかしようという工夫が全く見えない上、出会い方も逃げ方もタイミングもクソ単調で見飽きてくる』というような、なんとも残念な出来栄えに仕上がってしまっているのです。
 戦闘、逃走面の描写がただでさえ単調なのに、構成的にも逃げては話して逃げては話して、の繰り返しであること、また、重要な謎や疑問が一切解決しない上に中身のなさが透けて見えることなどが、展開の単調さをより強く感じさせてくれるわけですね。これはちょっといただけません。
 また、主人公とヒロインの頭が弱いというのも、展開の単調さに拍車をかけている要因として挙げられるかと思います。この2人、いったい何をそんなに過信しているのか、『朝まで逃げ切れば怪物は消える』というなんの根拠もない考えを軸にして動いているせいで、対策を何も取らずにひたすら逃げるどころか、なぜかどんどんどんどんと人気のない方向をわざわざ選んで逃げてゆくというファインプレーまで見せてくれます。出会う、逃げる、話す、この3つ以外のイベントがほとんど起こらない要因はこれですね。
 そもそも、真昼間に登場した物理攻撃型モンスター相手に『お化けだから朝になればセーフ』とかいう謎理論を本気で信奉してるなんて、これもう救いようがねぇな? こんな頭の出来が残念な男女が怪物から逃げるだけの映画というだけで、もう面白くなさそうな雰囲気が漂ってくるから凄いね。別にアホ2人がどうなろうと興味がわかないもんね。
 しかしまあ、ここまでは序の口と言ってしまえば序の口です。この映画における最大の問題点は、オチが意味不明極まるということ、やはりこれでしょうか。この映画は最終的に、なぜかビルの屋上で主人公&ヒロイン、そして口裂け女とカシマさんが一堂に会します。そしてそこから始まるのは、まさに怒涛の展開。まず、口裂け女とカシマさんが混じり合ってなんかCG全開の雑な光が広がって消滅します。その後、なぜか主人公は口裂け女に、ヒロインはカシマさんになってお互いに戦います。その後、戦ってる最中に幸せなキスをしてハッピーエンドです。ちゃんちゃん。
……いや、多分ね、こんな説明じゃ「は?」ってなる人しかいないと思うんですよ。でもしょうがないんですよ、私もこのオチ見たとき「は?」って思ったんだもん。というか、まじでこれ以外に説明のしようがないんです。「結局この2大怪物なんで突然現れたんだよ」とか「なんで主人公たちがしつこくつけ狙われてたんだよ」とか「なんで主人公たちがいきなり口裂けとカシマになって戦って戻ってキスしてんだよ」とか、その手の主要な疑問は完全にガン無視でエンディングですよ。なんだこの映画(理解不能)。

総評ですが、理解が追いつかない、これにつきます。オチの意味が分からないのは去ることながら、序盤に提示してきた疑問についても1つも解決することなく全部放り投げますからね。65分かけた壮大な時間の無駄遣いと言ってもいいでしょう。これだけクソ単調な展開にするんだったら、せめてもう少しVS要素増やして欲しいと思った。

 また、『口裂け女とカシマさん』という今作のテーマ部分についても、ガバってる部分やツッコミどころを探せばボロボロ出てきますね。思いついただけでも、「カシマさん(女性)は失くした自分の下半身に合う身体を求めて人間を襲う上半身だけの霊」とかいう設定のくせして、ふたなりに憧れてるのか知りませんが襲うのは男ばっかりな点とか、『カシマさんは上半身だけの霊=下半身がない=下半身を映せない=画面端にしか置けない=自由に動ける口裂け女に比べてクッソ地味で釣り合いが取れてない』点とか、『男主人公とヒロインが、最終的に口裂けとカシマと化して戦う』っていう設定作ったんなら、怪物の男女比も元から男1:女1に合わせとけよとか、そりゃもう口を開けば文句が出てくるレベル。
 そんなわけで、個人的には全くオススメしませんが、「序盤15分だけ見たらラスト10分前まで飛ばす」という見方をすればそこそこ楽しめるかもしれません。もし見るならそれでいいのではないでしょうか。その間は別に見なくていいと思います。
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