「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

知的風ハット氏著「サメ映画大全」を読んだ感想を語る枠

 お疲れ様です、管理人のさがんです。
 本日はですね、現在話題沸騰中の書籍「サメ映画大全(知的風ハット氏著)」が先日やっと届いたので、早速それを読み「いやこれは思った以上にオススメだわ」と思ったので、雑談記事というか布教記事をしたためて皆様に買わせようとする感じのやつです。

 サメ映画をこよなく愛する方々については、私が紹介するまでもなくこの書籍のことはご存知だと思うので特に言うことはないんですが、私のように「別に特段サメ映画が好きなわけでもないんだよな、モンスター映画の一環としては見るけど」という方に対しては「いやこれオススメですぜ」と言いたい。どの辺がオススメなのか、何が良い本なのかについては、下記でご紹介していきます。
 それでは行ってみましょう。

1.サメ映画大全の概要

 こちらの書籍は、かの有名なサメ映画ライターの浅井ラムちゃん、もとい知的風ハット氏による書籍です。その名の通り、A級からトンデモまで、100以上のサメ映画を紹介、解説した評論本です。

 解説されている映画については、サメ映画の元祖と言えるジョーズより前の作品から最新サメ映画まで幅広く取り上げられており、過度に近年の作品ばかりに偏っていません。また、コラムという形で日本国内未発表のサメ映画も紹介されており、よほどのサメ映画ガチ勢でもなければ「こんな映画あったのか」となる事必須。製作年代ごとに、各作品群を5つのフェーズに分類しており、2000年以前の古い作品だけで21作品も取り上げられています。サメ映画の原点こと、ジョーズ(1975年製作)に続く名作サメ映画、ディープ・ブルーが1999年製作なので、大体ジョーズ付近からディープブルーくらいまでで20作品です。そんなあるのかよ。

 2001年〜2010年の作品群に入ると「オープン・ウォーター」「レッド・ウォーター サメ地獄」「メガ・シャーク」シリーズ、「シャークトパス」シリーズなど、見知った作品が増え始めます。そして2011年以降の作品群では、「シャークネード」シリーズ、「ゴースト・シャーク」「ダブルヘッド・ジョーズ」シリーズ、「デビルシャーク」などお馴染みの顔がズラリと並ぶ、という具合。本書では、それら作品を年代別に紹介しているという都合上、目次がサメ映画年表のような役割も果たしており、極端な話、目次を眺めているだけで現在まで続くサメ映画の変遷を感じられて楽しかったです。自分がどの年代のサメ映画をよく知っているのか、またよく知るあのサメ映画の付近ではどのような映画が作成されていたのか、色々な楽しみ方ができるでしょう。

2.読み終わっての感想

 ご本人もTwitterで「ジョーク本にしなかった」とおっしゃっておられる通り、内容的にはかなり真面目に各映画を評論したものとなっており、大変に読みごたえがありました。その作品の製作背景や小噺を交えながら、どんな特徴がある作品なのか、どんな魅力がある(ない)のか、オススメは出来るかなど、かなり詳細、かつ結構シビアに解説されています。

 かつ、その冷静な分析の中にも、知的風ハット氏特有の光るワードセンスが随所で炸裂しており、未見の作品も視聴済みの作品も、名作はもちろん駄作ですら、つい見たくなるような魅力的な紹介がなされている、読み物としてもかなり面白い一冊でした。

 個人的に今作を最も評価したいのは、例えばハウスシャークやシャークネードシリーズのような、いわゆる「トンデモ系」の映画についても、過度にトンデモ部分のみを誇張したり、その部分だけを持って過剰に評価を引き上げたりはせず、それはそれとして演出や脚本上の良い点、悪い点をしっかりと取り上げて分析している事
 私はまず、視聴済みの作品の解説を中心に本書に目を通したのですが、その作品に対して自分が感じた事と同じような解説が載っていると共感して嬉しくなり、自分と違う考えが掲載されていれば「なるほど」と思い、またサメ映画を山ほど見てこられた著者だからこそ気付く視点からの指摘にはただただ感嘆させられたりなどして、自分がその映画を見た当時の気持ちを思い出して懐かしさに浸りながら、それでいて様々な発見もあって、とても有意義な読書タイムを過ごせました。

 また、内容はそんな感じでかなり真剣なものながらも、例えば右下のページにパラパラ漫画が仕込んであったり、鮫肌を思わせる中表紙が採用されていたり、本を閉じた時の断面部に、見る向きで変わる2種類のサメが描かれていたりと、面白い仕掛けもちょいちょいあって、真剣な内容とのギャップにちょっとほんわかしたりもしました。総じて、様々な工夫が凝らされた良書だと思います。マジで、久しぶりに漫画以外の本を読んだ。

 というわけで、まだ購入されていない方は、ぜひ一家に一冊いかがでしょうか?

 

>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊