「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

クラーケン・フィールド のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2006
販売 Happinet

もはや清々しいレベルのパクリ。

パッケージデザイン、邦題共に酷いですね。なお、本編はPOVでもなければ、自由の女神すら一切登場しません。ちなみに原題はDEADLY WATER/KRAKEN: TENTACLES OF THE DEEP

とりあえず、多分悪いのは全部販売元なので、あくまでも映画自体の評価とこのクソみたいなパクリタイトルやパクリパッケージは分けて考えるということで……。それにしてもこういう詐欺商法、何とかならないものでしょうか。まあ、それを分かってて釣られているんで、偉そうなことは言えませんが。

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずは予告編&Amazon先生のあらすじからどうぞ。なお。予告編は死ぬほどふざけていますが、本編自体はそこそこ真面目な内容です。

【予告編】


【あらすじ】

” 幼い頃、海で両親を失って以来、その原因を追究し続けているレイ・ライター。彼は、古代神話の宝石を探す海洋考古学者ニコール・フェリン博士の探検に加わり、宝探しとは別の目的を果たそうとしていた。しかし、何世紀もの間、その宝石を守っていた生き物こそ、レイの両親の仇—巨大クラーケンなのであった。(C)2007 CALAMARI  PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………C
モンスターの質……C
キャラクター………B
設定…………………C

総合…………………C
おすすめ度…………D

【良い点】
・キャラクターに好感が持てる

【悪い点】
・クラーケンの扱いが雑
・パンチ力不足

内容的には、超劣化版ハムナプトラといったところでしょうか。全体的になかなか良く出来ているように思うのですが、これといった盛り上がり、決定打に欠けるのが非常に痛いです。

【以下、ネタバレ注意!】

馬鹿デカいイカ ≠ クラーケン

ただのデカいイカをクラーケンだと言い張るその姿勢には感動した()

今作のタイトルとパッケージは、誰がどう見ても某クローバーフィールドの完全なるパクリですが、映画の内容はパニック物というよりもトレジャーハントなアドヴェンチャーものでした。では早速、詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、キャラクターに好感が持てるという点です。

今作のお話の軸は二つあり、一つは古の宝石を狙うヒロインとその敵対勢力との争い、というもので、もう一つはクラーケンへの復讐を誓う男主人公が、それを成し遂げるまで、というもの。このヒロインと男主人公の利害が一致するため、二人は行動を共にし、お互いの目的を果たすために共闘するわけです。

  この流れはベタながらも動機づけとしては充分で、しっかりと二人の行動に共感が持てました。男主人公もヒロインもしっかりと行動を起こすタイプの人間、かつ有能な部分が多かったというのも好感度が高いですね。

続いては悪い点を。今作の悪い点は、クラーケンの扱いの酷さと、全体的にパンチ力に欠けているということです。

今作は、宝石を狙うトレジャーハンターたちとの争いもメインとして置かれていますが、何と言っても今作はモンスター映画。クラーケンも主役であることは間違いありません。しかし今作、そのクラーケンの扱いが非常に雑なのです。

クラーケンと言い張る巨大生物がただのでっかいイカだった、という時点でかなりやばい予感はしていましたが、問題となるのはフォルムではなくその扱い。「宝石の守護者」という位置付けの割には無関係な人間をバンバン襲い、そのくせ標的が地上にいる間は手も足も出せず、極め付けにはあっさり釣り上げられてボコボコにされる始末。看板を背負うモンスターとしては少し酷いです。

また同時に、この作品には「これだ!」というパンチ力、言わば決め手が圧倒的に不足しています。主人公コンビは好感が持てる一方、これから盗賊たち&クラーケンとの決戦だというのに武器の一つも用意しない準備不足で、ストーリーはなかなか良く出来ている一方、予定調和な展開が多いためそこまで惹き込まれず、肝心のクラーケンはほとんど見せ場がない、などなど……。

もちろん全体的に悪くはないのですが、以上のような不満点がちらほらと目に付き、全体としてイマイチのめり込めない、というような印象を受けてしまいました。何か一つ、飛び抜けて良い点、個性的な点があれば良かったと思うのですが……低予算映画にそこまでの物を求めるのは酷であると分かっていながらも、ついそう思ってしまいます。

総評ですが、全体としての纏まりはなかなか良かった一方で、作りこみが荒い部分がいくつか目に付き、どうしてもそれが気になってしまう、というような映画でした。何か飛び抜けて個性的な点があるというわけでもなく、ハムナプトラやトゥームレイダーなどの有名トレジャーハント映画の下位互換としてのポジションを打破出来ていないように感じました。

ただし、ほとんどの低予算映画は「〇〇の下位互換」という位置を打破出来ていないので、あまりそのことを取り立てて悪く言うことはないと個人的には思います。むしろ、低予算映画としては全体的になかなか良く出来ています。しかしその場合でも、やはり「看板であるクラーケンの扱いの雑さ」は大きな問題であるため、あまりおススメはできません。ご利用は計画的に。

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