「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゾンビリアン のレビューです(総合評価B)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2007
販売 AMGエンタテインメント

 「ゾンビ+エイリアン=ゾンビリアン」 すごい邦題ですな。ちなみに原題はDAYS OF DARKNESS

レンタル版を吹き替えで視聴しました。

【あらすじ】

映画界の2大クリーチャーであるエイリアンとゾンビが合体し、人類の未来に立ちはだかるホラー・アクション・ムービー。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………B
ゾンビの質………C
キャラクター……B
設定………………C

総合………………B
おすすめ度………D

【良い点】
・なかなか惹き込まれる展開
・キャラクターが個性的

【悪い点】
・割とガバッた設定
・後半の展開がグダる

ゾンビものとしてもエイリアンものとしてもなかなか中途半端な出来でしたが、私はかなり好きでした。人を選ぶことは間違いないので、おすすめ度は下げておきます。

【以下、ネタバレ注意!】

酢豚のパイナップルみたいな映画でした(難解な例え)

要するに、好き嫌いが恐ろしく別れるということですね。「こんなん邪道や!」とキレる人もいる一方で、「いや、これはなかなかいける」と頷く人もいるでしょう。私は好きでしたよ、この映画。ちなみに酢豚のパイナップルも好きです。
うんまぁい

さて、酢豚パイナップル論争は他に預けるとして、早速詳細に中身を見てゆきましょう。まずは良い点から行きます。

今作の良い点は、キャラクターが魅力的であるということと、展開が個性的でなかなか惹き込まれるということの二点です。

まずは展開について。今作はゾンビ+エイリアンという趣旨の映画だと書きましたが、この辺りについてもう少し詳しく説明すると、地球に飛来した隕石にくっ付いていたエイリアン(寄生虫)が人間に寄生し、寄生された人間はゾンビになってしまう、という内容のものです。

このため今作、ゾンビに噛まれただけでは感染しません。また、エイリアンは男性の生殖器を通じて子孫を残すという性質があるので、女性のゾンビも登場しません。この辺りの設定は結構珍しいですね。

しかし、今作における個性的な点というのは、この部分ではないのです。その点とは、今作の展開の大半がゾンビの生態解明に消費されている、ということなのです。

今作の登場人物の幾人かは「敵と戦うには、まずその性質を知る必要がある」というような思想を持っているので、ゾンビを積極的に解剖し、その身体機能や生体的なシステムを解明しようと努力します。その結果、徐々にゾンビに関する身体的機能が解明されてゆき、最後にはその弱点となる物質(アルコール)の発見にまで至るわけです。この、ゾンビをただの化け物として終わらさずに、その謎を解明して行こうとする姿勢には非常に好感が持てました

また今作は、立てこもりタイプのゾンビ映画であるということから、舞台となる軍事施設の外に話が一切広がりません。そのため、室内での会話シーンが必然的に多くなるわけですが、登場人物たちにしっかりと魅力があるおかげで、これを飽きずに見ていられる、ということも地味に高ポイントな点でした。

主人公は積極的に行動を起こし、ゾンビの謎を解明していこうとする好感の持てるタイプですし、絵に描いたような嫌味な男や宗教野郎、元ポルノ女優とその娘……などなど、もう何も衝突が起きない方が不思議なレベルの面子揃い。この他にも、元軍人の女や陽気なおっさんたちなど、話をしっかりと動かしつつ盛り上げてくれる人たちも活躍しており、キャラクターに関してはかなり良かったと思います。

反面、ヒロインの影が恐ろしく薄い点は少し残念ポイントでした。まあ、出しゃばってウザいよりはマシですね。良い点は以上です。

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、設定が割とガバッているということと、後半の展開が若干グダっているということの二点です。

良い点でも述べたように、この映画はゾンビの謎の解明に向けて全力を注いでくれます。そのこと自体は非常に良いと思うのですが、そこから導き出される結論が「その程度か」という出来で終わってしまったのは残念でした。

一番設定がガバっている部分としては、「エイリアンはアルコールに弱いので、隕石衝突の前夜にアルコールを摂取していた人間は寄生されなかった」というもの。女性はゾンビにはならないということも考慮すると、世界にはかなりの数の生存者がいることが想定されますが、なぜかこの作品では一晩で町が壊滅したということになっています。女性は(ひとまず)全員セーフ+酒を飲んでた男はセーフであることを考えれば、この設定にはいくらなんでも無理があるということがすぐに分かるでしょう。

次に、後半の展開について。今作、前半はゾンビの生体解明と会話シーン、バトルシーンの配分がちょうど良く、かなり惹き込まれるものがあったのですが、後半はゾンビの生体解明と会話シーン、さらに内輪もめの論争などに時間を割き過ぎて、ゾンビとの対決シーンが申し訳程度にしかありません。しかも、その部分の出来すらかなり雑。話自体はそこそこ面白いので見ていられるのは救いですが、やはりこれ、ゾンビ映画としては寂しいです。

また、(予算の関係か)舞台が立てこもり場所の外に一切広がらないので外の世界の様子が全く分からないこと、ゾンビの出来はなかなかお粗末であることに加え、そのゾンビの登場シーンすら削られること、などなど、不満点はちらほら。しかも、それらは後半により顕著になって現れてくるため、どうしても後半の出来は残念に映ってしまいます

総評ですが、酢豚のパイナップル(お気に入りの例え)。ゾンビの解剖や生体解明に全力を注ぐ姿勢に好感が持てるか否かが最大の分かれ道でないかな、と個人的には思います。

まあ、その解明する謎がたいしたことないというのは残念ですが、エイリアンが寄生することや男性の生殖器を使って繁殖することを見事解明した点や、解剖を積極的に行う姿勢にはかなりの好感が持てました。

ただ、エイリアンとゾンビ、両方をやろうとしてどちらも中途半端な出来になってしまっている、ということは記しておかねばなりません。なかなか面白かっただけに、いっそどちらかの題材に絞って製作した方が面白くなったのではないか、という点が一番残念に思います。

かなり変わり種な映画で人を選びますが、興味を持たれた方は是非どうぞ。もちろん不満点はありますが、全く期待していなかっただけに、個人的には大満足の映画でした。

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