「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

グリズリーレイジ のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 カナダ
製作 2007
販売 ア ル バ ト ロ ス

久しぶりにアルバトロス師匠のお世話になった気がします。できればもう出会いたくなかった

レンタル版を吹き替えで視聴しました。Amazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】

『ロード・トゥ・パーディション』のタイラー・ホークリンが主演するパニックアクション。車に乗ってキャンプ場へ向かったローレンら4人は、途中悪乗りして立ち入り禁止区域に入り、グリズリーの子供を轢いてしまう。そこに超巨大な親グリズリーが現れ…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
モンスターの質…D
キャラクター……D
設定………………D

総合………………D
おすすめ度………D

【良い点】
・短い(86分)

【悪い点】
・展開がワンパターンで中盤のダレ具合が酷い
・キャラクターがアホしかいない
・CGの質が見るに堪えない
・時間を割くシーンがおかしい

 相当訓練されたB級ファンでないと、見るに堪えないと思います。

【以下、ネタバレ注意!】

 「これがB級映画だ!」と胸を張って言えるような内容でした。正直全く面白くありませんでしたが、評価オールDを見てもらえれば分かるように、突出してクソな部分はなく全体が均等にクソという、感動すら覚えるレベルのバランスの良さです。

 さて、では早速詳細な評価に入ってゆきましょう。

 まずは今作の良い点からです。今作の良い点は、何を隠そう視聴時間が短くて済むことです! 何とたったの86分! 以上!

 以下、怒涛の批判です。先述の通り、今作は全ての要素が標準以下で纏まっている、非常にバランスの取れた作品です。そのため突出した悪い点はありませんが、言い換えれば悪い点しかありません

 まずは今作の売りである、クマのCGについて。今作では何と、本物のクマと思しき映像が多用されています。そのためリアリティと迫力は折り紙つき!

 では一体、何がいけないのかというとですね……それは演出に他なりません! 今作のクマによる襲撃シーンは、

『人が逃げる映像→クマのアップ→人が叫ぶアップ→クマが叫ぶアップ→画面が赤くなる』

のパターンしかありません。つまるところ、同じ画面上に人とクマが並び立つことがないのです! もうこれは誰が見ても別々に撮影した人とクマの映像を交互に流しているだけという、緊迫感もクソもない演出なわけです。

 しかしそうは言っても、これについてはあまり悪くも言えません。B級ということで、予算が全くない中での苦肉の策なのでしょう。この手法か、おもちゃにしか見えないバリバリのCGを連発される手法か、どちらがマシかと聞かれると、正直私も悩むところです。

 ただ、私が責めているのはそこではないのです。問題はこの映画の死に方、襲われ方が、実にこのワンパターンしかないことなのです! もう予算がないなりの工夫をする努力がゼロ。毎回安っぽくても演出を変えてくれればよいですが、さすがに飽きてきますよ、これでは。

 もちろん安っぽいのは、クマの演出だけではありません。まずストーリー。これも終始ワンパターンで『一人が先行→クマに出会う→逃げる→襲われる』の繰り返し。また中盤以降はクマすら出てこない無駄なシーンをひたすら垂れ流されるので、さすがに見ていてダレてきます。

 そしてその無駄なシーンにやたら時間を使いたがるので、話のテンポが恐ろしく悪いですね。狩猟用の罠が並んでいるただの小屋の映像を延々流したり、車を引き上げるシーンをノーカットでお送りしたりと、とにかく時間の使い方が下手です。

 そして展開が強引。車が使えなくなる理由はまさかの仲間割れによる運転ミス(崖下転落)。クマに襲われた友人は怪我した足を引きずりながら一キロの距離をクマから逃げ切り、挙句の果てに車内の主人公たちを襲っていたクマも、途中で飽きたのか急に帰りだす始末。

 また登場人物がアホすぎて、行動に全く共感できません。車を転落させた張本人は謝罪の一言もせず、無駄話ばかりしているせいで見晴らしの良い場所でクマの接近に気付かず襲われ、しかもクマがいる目の前で逃げる戦うとウダウダ言い争いをするというアホさ。

 しかしこんなものは、ラストシーンの無能さに比べれば屁でもありません。この映画のラストは、ヒロインがクマを小屋の中に誘い出し、何を思ったか外から木製の

かんぬき
でクマを閉じ込めてエンドなのです。

 「いや、別にいいんじゃ?」と思われるかもしれませんが、何とこのヒロイン、後ろでクマが扉にガンガン体当たりし、閂はきしみ木の戸はひしゃげ、木目が裂けているにもかかわらずまさかの「私たち、勝ったのね!」発言。もはや救いようがないですね。

 「いやいやおかしいだろ、主人公なんか言ってやれ!」と思っていると、その主人公も「そうだよ。さ、帰るか」と満面の笑みでヒロインと抱き合いイチャつき、その小屋を後にします。当然その間にクマは扉を破って出てきて、最後は二人とも襲われて終了。過去、これほどまでに自業自得という言葉の似合う死に方はあったでしょうか。

 総評ですが、褒めるべき点が一箇所もなく、全てが悪いという印象しか残らない映画でした。しかし逆に、全体的に低レベルすぎて無駄にバランスだけは取れている作品でもあります。

 この映画のどの要素も、普通の映画の中に入れると致命傷とまで言える効果を発揮するでしょうが、今作の中においては周りのレベルに相応しい出来で収まってしまうため、致命傷という印象は受けませんでした。同程度の集まりの中では、その醜悪さは目立たないものです。木を隠すなら森の中とは、よく言ったものですね。

 大体このレベルの映画になると、「どれをとってもクソだけど、この部分だけは突出して特にクソ」というのが一つ二つはあるものですが、この映画にはそれが感じられません。ある意味では神がかった手法ですね。

 とは言っても、結局は全然面白くないという結論で差し支えないので、見る必要は全くないと思います。

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