「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら のレビューです(総合評価B)

 ずっと見たかったんですが、やっと見られた(ご満悦)
 今作ですが、吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
親友同士のタッカーとデイルは、念願の別荘を手に入れ、休暇を自分たちの山小屋で過ごそうと森へやって来た。しかし2人は、同じ時にキャンプに来た生意気な名門私立の大学生グループに、人里離れた山に暮らす殺人鬼だと勘違いされる。タッカーとデイルが川で溺れかけた女子大生を助けたことで、更に誤解が誤解を生み、次々と死人が出てしまう。仲間の女子大生を救おうと大学生が襲いかかってくるが、事態はなぜか不思議なありえない展開に!気のいいタッカーとデイルの運命やいかに…?© 2010 T&D Productions Limited All Rights Reserved(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………B
キャラクター……B
設定………………C
総合評価…………B
おすすめ度………B
【良い点】
・全体的な構成がとにかくうまい
・飽きさせない展開
【悪い点】
・設定に無理が目立つ
 「学生たちが森にキャンプにきたら、何とそこには殺人鬼が!」というホラー映画にありがちな設定を逆手に取り、「悪気のないおっさん2人を学生たちが勝手に殺人鬼だと思い込み、決死の覚悟でする行動が全て裏目に出て自滅していく」というテイストに仕上げたホラーコメディ映画です。そのコンセプト自体がすでに面白いというのもさることながら、中身もしっかり練られていて飽きずに完走できました。個人的にはおすすめの映画です。
【以下、ネタバレ注意!】
 警官のおっちゃんが一番かわいそうだと思った。
 さて今作ですが、コミュ障で強面でデブのオッサンが女子大生に声をかけたばかりに、ホラー映画顔負けの災難に巻き込まれていく、という物語です。やっぱりコミュ障は引きこもるのが一番だな!
 では早速、詳細な内容を見て行きましょう。まずは良い点から。
 今作の良い点は、飽きの来ない展開に加え、全体的な構成がとにかくうまいことです。
 この映画はまず、タッカーとデイルというおっさん2人が森に別荘を買う&その森に学生グループがキャンプをエンジョイしにやってくる、というところから物語がスタートします。その2組は森に入る前のショップで出会うのですが、控えめに言っても学生たちがタッカーとデイルに抱いた印象は最悪。それもそのはずで、強面でコミュ障でデブのデイルが、いきなり好意を持った女子大生に声をかけに行くのですが、緊張して上手く話せずもうびっくりするほど不気味な雰囲気全開で話しかけるんです。それを見て、当然強い警戒心を抱く学生たち。そしてその挨拶(ナンパ)がきっかけで、この後この2組は大きくすれ違っていくことになるのでした……。
 と、いうような感じの導入から始まる今作。そしてここからは、この最悪の出会いをした2組による、すれ違いまみれの死闘が幕を開けます。池に落ちた女子大生を舟に乗せて助けた姿を見られ、彼女をさらったと勘違いされるデイル。チェーンソー片手に蜂の大群から逃げようともがく姿を見られたせいで、チェーンソー使いの殺人鬼だと誤解されるタッカー。大学生は大学生で、「殺られる前に殺る」理論で必死で彼らに先手を取ろうと行動しますが、その行動がことごとく裏目に出て自滅。走ってる途中、前方不注意で木の枝に突き刺さるわ、滑って自分の持って来た武器が突き刺さって死ぬわ、ウッドチッパーに自分から突っ込んで肉片になるわの自滅祭り。その自滅っぷりはまさに見どころ。死亡シーンではありますが、グロさ的にもコメディを壊さない程度の出来栄えでちょうど良い。また、死に方もちゃんとこちらの予想した通り、期待通りの死に様を見せてくれるため、ちゃんとコメディとして楽しむことができます。この辺の調整も上手いですね。
 また、後半以降はそこから状況が少し変化。コメディな雰囲気は残しつつ、話題は20年前にこの森で本当に起きた連続殺人の話へと移っていきます。そしてその話からさらに、大学生グループの中にマジモンの殺人鬼の素質を持った人間が混じっていることが分かります。そんな話からつながってくる終盤は、強面のデイルが一目惚れしたかわいい女子大生のために、そのサイコ野郎に立ち向かっていく、という展開へとシフト。終盤は、展開自体はありがちなものになっていきますが、この困難に立ち向かうのがこれまでギャグ担当だったダメダメのおっさんであるデイルだからこそ、彼の成長を感じられて燃えてくるし、素直に応援したくなっちゃうんですよね。このあたりも含め、今作は非常に見せ方や構成がうまいと思います。キャラも(特に主格3人組は)非常に魅力的で、ただ殺人鬼に勘違いされてツイてなかった、というだけではなく、そこから過去の事件も含めて話が膨らんでいくので飽きずに完走できる、というのも大きな特徴でしょう。
 前半は話がどんどんこじれ、誤解がどんどん大きくなっていくのを楽しむコメディ、後半はそこから話が繋がり、マジの殺人鬼の血を引くサイコ野郎とヒロインをかけた対決という燃える展開、と、一粒で2度美味しい隙のなさ。これは名作じゃな?
 一応悪い部分、というか気になった部分としては、設定に結構無理のある部分が見られることをあげておきます。前半の、誤解が広がり、話がこじれていく様は面白いのですが、それにしたって学生たちは自滅のプロかってくらい見事に自滅しまくりますし、後半は後半で殺人鬼役の学生の行動に多少突っ込みたくなる部分もあります。まあ、コメディである都合上さほど気にはならないのですし、そういうツッコミどころが多い部分も含めて楽しめるって方も多いと思うので、一概に悪いとは言えないのですが、一応気になった部分ということで。
 というわけで総評ですが、ホラーコメディとしてはかなりの傑作だと思います。ホラーによくあるお約束なシチュエーションを踏まえた上でどんどんストーリーが展開されていくため、普段からホラー映画をよく見る人ほど楽しめますし、後半は後半でコメディ一辺倒ではなく、熱く燃える展開を繰り広げてくれるのでそっち方面の見所もあるという素晴らしい出来栄えでした。個人的にはオススメですので、気になられた方は是非見てみてはいかがでしょうか!
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